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http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
4,500MW,パキスタンのバシャダムの総工事費は,実に126億ドルである。WAPDA総裁は,2018年完成後は,毎年電力で15億ドル,農業で5億ドル,合計毎年20億ドルの便益があるという。インダス川の上流で,実質パキスタン実効支配地域とは言え,国際的には国境未確定地域である。世界銀行は,それを理由に,支援を拒否した。
バシャダムこそが,新しい文民政権の国民統合の象徴,と考えるザルダニ大統領は,北京を訪問したときに,湖錦濤主席に直接その支援を訴えた。湖錦濤主席は,明確に答えを与えなかったのではないか,と言うことは,民間資金の可能性を考えたのではないかと思われる節がある。ザルダニ大統領は,湖錦濤主席の支援が受けられる,と考えているようだ。
パキスタンの国家経済委員会幹部会ECNECは,バシャダム(注1)の用地確保のため1,165億ルピーを承認したが,土地取得は予算の目処が立つまで待て,と言われている。パキスタンの手持ちの資金はこれだけである。見切り発車,と言うことだろう,この2008年11月27日,総工事費126億ドルの戦略的なプロジェクト,ディアマー-バシャダム(注1)に対する施工業者の事前資格審査(注4)が強行された。
現在パキスタンは,中国を中心に,オイルマネーのUAE,クウエート,また中国など,トップレベルとの交渉を続けていると言う。2009年1月にはコントラクターの決定にこぎ着ける。11企業が資格審査に応じたが,それらの国籍は,中国,EU,UAEの企業で,具体的な名前は明らかにされていない。当然パキスタンとしては,各国トップの資金協力を待って,業者決定を行う構えだ。
今日のWAPDA総裁の話は,多分にこの資金協力への下ごしらえのためであろう。これだけの大プロジェクトで,世界一の汚職国と言われているパキスタンに対して,皆尻込みするであろうから,WAPDA総裁は,まず,財務担当のアドバイザーを来年早々にも指名する,と切り出して,後は内貨外貨に区分した毎年の支出計画を発表している。
このバシャダムは,一時,大昔に,ニュージェックのメンバーが現地を訪ねて,その急峻なアクセスに,大声を上げていたのを覚えている。パキスタンにとってはまさに戦争である。インドのシェナブ川のバギリハールダムの完成に対抗する意識も強く,どうか,実際の戦争を行わずに,このようにダム建設で模擬戦争をやってもらえれば有り難い。パキスタン,頑張れ。
(注) (1) Diamer-Bhasha dam,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081204A.htm,(3) pre-qualification,(4) Chairman Water and Power Development Authority (Wapda) Shakeel Durrani,(5) Chenab River,(6)
本文
●パキスタンのバシャダム,金融専門家を招聘へ
資金調達の目処がつかないまま,いよいよ入札に入ったパキスタンのディアマ-バシャダム(注1),2008年12月4日付本HP(注2)では,内外の10企業が事前資格審査(注3)に応募したことを報じている。126億ドルに上る資金調達については,パキスタン政府は努力を続けており,UAE,クウエート,中国の最高位レベルとの交渉を行っており,他にもパキスタンの友好国とも接触している,と報じられた。世界銀行は拒否。
このような状態の中で,パキスタンは,まさしく戦争前夜の様相である。政府は国民の一致団結を呼びかけている。パキスタン政府の高官筋が明らかにしたところでは,政府は,財務担当のアドバイザーを雇う計画で,来月,2009年1月には決定する,これは財務関係で,不適切な方法を避け,完全にコントロールするためだ,と述べている。多分に,資金調達先を意識した発言である。
ドウラニWAPDA総裁(注4)は,汚職の防止を含めて,WAPDAと共に,財務状態をモニターする役割として,財務担当のアドバイザーを雇う計画,と話している。また,最終的な規模は,4,500MWで,年間20億ドルの収益を上げることが出来る,としている。また,財務担当のアドバイザーと同時に,入札結果も,2009年1月には明らかになるとしている。
現時点では,入札企業,殆どが海外企業であるが,のショートリストに焦点を当てている段階だと。すべてが円滑に行き,資金調達も間に合えば,2017~2018年に完成する予定である,と。シェナブ川(注5)でインドが水をストップして以来,パキスタンは現在,電力不足と水不足に悩んでいる,この危機は更に今後拡大してゆく様相を見せている,と危機感を煽っている。
WAPDAの計算では,電力で年間15億ドル,農業で年間5億ドルの収益を上げる見込みであり,これは,経済専門機関も支持している。2018年までの支出予定も把握している。2008~9年で545百万ドル,2009~10年で725百万ドル(内貨545,外貨180),2010~11年で996百万ドル(内貨735,外貨261),2011~12年で1,527百万ドル,以下同じように,
2112~13年で1,421百万ドル,2013~14年で1,586百万ドル,2014~15年で1,664百万ドル,2015~16年1,451百万ドル,2016~17年で1,023百万ドル,2017~18年で1247百万ドルとなる。最終年度には,後処理として415百万ドルが必要である。これで総額は126億ドルであり,外貨分としては5059百万ドル,内貨分は政府とWAPDAが賄うが,7,410百万ドルである。
要するに今日の記事は,ドウラニWAPDA総裁(注4)が,資金調達に必要な条件を明らかにした,と言うことで,必要な主出計画の他,何かと信用されないパキスタンの汚職問題を強く意識して,財務担当のアドバイザーを置くことを内外に宣言したわけで,これでどうか,資金を貸してくれないか,ということだ。ダム地域が国境不確定地域なので,世界銀行が供与に応じなかったのが,パキスタンを苦しくしている。
(注) (1) Diamer-Bhasha dam,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081204A.htm,(3) pre-qualification,(4) Chairman Water and Power Development Authority (Wapda) Shakeel Durrani,(5) Chenab River,(6)
●ネパールの電力制限,更に5年以上続く
ネパールは水力だけに頼っている。それも,経済規模が小さいために,大規模な水力開発は出来なくて,常に洪水や渇水の影響を受ける,比較的規模の小さいダムが殆どである。新しい共和政権の元で,インドとの協力の下に,これから大規模な貯水池を建設していこうと言うことだが,大規模なだけに,建設に時間がかかり,電力不足の状態は容易に解決できない,と言うことだろう。中国紙の報道である。
ネパール電力庁NEA(注6)は,不十分な資源と電源不足によって,ネパール全国に亘る電力供給制限は,今後も少なくとも5年間は続くであろう,と悲観的な見通しを明らかにした。バシャルNEA担当(注7)は,水源の川が氷結して多くの水力発電所で水位が下がってきている,そのために,我々はやむなく,伸びてゆく需要に対応することが出来ない,と話している。
ネパールの全国の電力設備は,617MWで,他に地方に,幾つかの小水力や太陽光発電所がある。需要は現時点で,722MWであり,更に伸び続けている。NEA(注6)は先週,週間の停電時間を更に増やす決定をせざるを得なかった。ある地域では,今まで週35時間の停電であったものを,45時間に増やすことになる。
(注) (6) Nepal Electricity Authority,(7) Danda Pani Basyal, NEA public relation director,(8)
Reference
Pakistan
●081208A Pakistan, thenews
パキスタンのバシャダム,金融専門家を招聘へ
Financial adviser for Bhasha Dam to be appointed soon
http://www.thenews.com.pk/print1.asp?id=151226
Nepal
●081208B Nepal, english.people.com
ネパールの電力制限,sqあらに5年以上続く
Power cut to continue for 5 more years in Nepal
http://english.people.com.cn/90001/90777/90851/6548982.html
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